初めてのエアコンクリーニング|700台以上洗って分かった「大切なのは高圧洗浄機ではない」という話

夏の暑さを無事に乗り越えられたでしょうか?

毎年夏になるたびに「去年より暑くなっていない?」と思うほど、厳しい暑さが続くようになりました。

今ではエアコンは、快適に暮らすための家電というより、生活に欠かせない設備の一つになっていると思います。

昔では考えられなかった「24時間つけっぱなし」という家庭も珍しくありません。

一台で暑さ、寒さ、湿気にも対応してくれる。

日本で生活するうえで、これほど頼りになる家電はなかなかありません。

しかし、それだけ働いているということは——

当然、エアコンも汚れます。

今回は、私が原状回復や在宅のハウスクリーニングで行っている「エアコンクリーニング」について、実際の現場経験を交えながらお話ししたいと思います。


エアコンクリーニングでは何を掃除するのか?

一般的なエアコンクリーニングでは、主に次のような部分を掃除します。

・エアコン本体の外装
・ホコリをキャッチするフィルター
・熱交換を行うアルミフィン
・風を送り出すシロッコファン
・風向きを変えるルーバー

一口に「エアコンクリーニング」といっても、実は作業方法にはかなり違いがあります。

大きく分けると、私は3種類あると考えています。

① 外装やフィルターなど、見える部分を掃除する

洗剤を使って外装を拭いたり、フィルターのホコリを取ったりする方法です。

日常のお手入れに近いクリーニングですね。

② 部品を外して内部を洗浄する

外せる外装部品などを取り外し、エアコン内部に洗剤を塗布して、水や高圧洗浄機などを使って洗浄します。

普段は手の届かないアルミフィンやシロッコファンまで洗えるため、一般的に「エアコンクリーニング」と聞いて想像するのはこちらだと思います。

③ 完全分解クリーニング

最近はSNSなどでもよく見かけます。

エアコンをさらに細かく分解し、通常のクリーニングでは洗いにくい部分まで徹底的に洗浄する方法です。

「完全分解しなければ意味がない」という意見も見かけますが、私は原状回復や一般家庭での在宅クリーニングを中心に仕事をしているため、今回は私が普段行っている②の方法について説明していきます。


そもそも、なぜエアコンクリーニングが必要なのか?

エアコンを使うと、内部には結露による水分が発生します。

そこにホコリや汚れが付着し、環境によっては時間の経過とともにカビなどが発生することがあります。

エアコンをつけた瞬間に、

「なんだか臭うな……」

と思った経験はないでしょうか?

内部に汚れやカビが蓄積していることが、臭いの原因の一つになっている場合があります。

また、カビの胞子などが室内に飛散することで、アレルギー症状など健康への影響が懸念される場合もあります。

そして内部の汚れは、外側から拭くだけではなかなか落とすことができません。

だからこそ、状態に応じて洗剤と水を使って内部まで洗浄する意味が出てきます。


私が実際に行っているエアコンクリーニング

ここからは、私が原状回復や在宅クリーニングの現場で普段行っている方法をご紹介します。

ただし、エアコンクリーニングは施工する人によって方法や考え方がかなり違います。

ですから、

「これが唯一の正解」ではなく、「私はこうやっています」

という一例として読んでください。


最初に見るのはエアコンではなく「周囲」

まず確認するのは、エアコン本体だけではありません。

・どこに設置されているのか
・周囲に家具や家電はないか
・下に何が置かれているのか
・床はフローリングなのか
・畳なのか
・カーペットなのか

こうした周辺環境を最初に確認します。

ハウスクリーニングでは「エアコンをきれいにしたけれど床を汚した」では仕事になりません。

お客様の生活空間の中で作業する以上、クリーニングする物だけではなく、その周囲まで見る必要があります。


外装を外すときに大切なこと

周囲を確認したら、ドライバーを使ってエアコンの外装を外していきます。

ここで意外と大切なのが、

「どこに、どのネジが付いていたかを覚えておくこと」

です。

ネジの長さや種類が違うこともあります。

プラスチックのジョイントやカバーなどもあるため、まとめて管理したり、種類ごとに分けたりして、元に戻せるようにしておきます。

当たり前のようですが、分解することより元通りに戻すことのほうが大事です。


必ず確認したい「製造年」

外装を外す前後で、私が特に注意していることがあります。

それがエアコンの製造年です。

エアコン本体には通常、

・型番
・仕様
・メーカー名
・製造年

などが記載されたシールがあります。

古いエアコンは部品の劣化が進んでいることがあり、ちょっとした力を加えただけでプラスチック部品が割れてしまう場合があります。

さらに古い機種では、万が一部品を破損してしまった場合、交換部品そのものが手に入らない可能性もあります。

そのため私は、現調時やクリーニング前に必ず確認するようにしています。

型番などが分かりにくければ、写真を撮ってメーカー情報などを調べることもできます。


一番緊張する?ルーバーの取り外し

個人的に緊張するのがルーバーです。

特に10年以上経過したエアコンでは、プラスチックが劣化していて、端が割れたり欠けたりすることがあります。

しかもルーバーは、機種によって柔らかく大きくたわむものがあります。

これを外すときが怖い。

きれいに外れてくれればいいのですが、

「これ……折れないよね?」

と思うくらい、グニャッと曲がることがあります。

そんなときは今でも、

「あぁ、神様!」

と祈るような気持ちになります(笑)。

何百台やっても、古いプラスチックだけは怖いものです。


電装部分を養生してから洗浄する

外装を外したら、エアコン本体の電装部分など、水をかけてはいけない箇所をしっかり養生します。

その後、クリーニング用のカバーでエアコン本体を覆います。

準備ができたら、アルミフィンやシロッコファンなどに洗剤を塗布します。

汚れに洗剤を作用させるため少し時間を置き、その後、水を使って洗浄していきます。

洗剤や浮き上がった汚れが残らないよう、状態を確認しながら十分にすすぎます。

洗浄が終わったら、外した部品を元の順番で取り付けます。

最後にエアコンを稼働させ、動作を確認しながら内部を乾燥させて終了です。

シンプルな機種で、問題なく作業できる場合、慣れれば私は30分前後で行うことがあります。

ただ、最初の頃は1台に1時間ほどかかっていました。

やはり経験によって作業時間は大きく変わります。


エアコンクリーニングはいくらが適正なのか?

お客様にとって一番気になるのは、やはり料金だと思います。

原状回復の場合は、管理会社や元請会社との契約金額によって料金が決まります。

一方、自分で受注する在宅クリーニングでは価格設定も変わってきます。

私がこの業界に入った頃は、通常タイプのエアコンで1万円前後から。

お掃除機能付きなら2万円〜2万5,000円程度という価格も珍しくありませんでした。

ところが最近では価格競争が進み、かなり安い金額を見かけるようになりました。

中には1台6,000円、あるいは4,000円程度という価格を見かけることもあります。

もちろん、

安い=悪い、高い=良い

と単純に決めることはできません。

ただ、クリーニングは人が時間を使って行う仕事です。

価格を下げるためには、作業時間、作業内容、人件費、使用する機材や洗剤など、どこかを調整する必要があります。

だから私は、お客様には価格だけではなく、

「その料金で、どこまでクリーニングしてくれるのか?」

を確認してほしいと思っています。

安いことにも理由があります。

高いことにも理由があります。

大切なのは金額だけで選ぶのではなく、作業内容と料金のバランスが自分の希望に合っている会社を選ぶことではないでしょうか。


高圧洗浄機は本当に必要なのか?

ここで、少し意外な話をします。

エアコンクリーニングに高圧洗浄機は絶対に必要なのでしょうか?

私の答えは、

「いいえ」です。

私はこれまで700台以上のエアコンをクリーニングしてきました。

「まだ700台しか」とも思っていますが(笑)。

その中には、高圧洗浄機を使わず、ホースリールなどを利用して洗浄した現場も数多くあります。

それで困った記憶は、一回か二回程度しかありません。

つまり私が思う一番大切なことは、

「何を使ったか」ではなく、「きちんと汚れを落とせたか」

ということです。


それでも私が高圧洗浄機を使う理由

もちろん、高圧洗浄機には大きなメリットがあります。

一つは、安定した水量と水圧で洗えることです。

特に築年数の経過したマンションやアパートなどでは、場所や設備の状況によって水圧が弱い場合があります。

水圧が十分でなければ、すすぎに時間がかかり、作業効率にも影響します。

その点、高圧洗浄機なら安定した洗浄ができます。

そして、もう一つ。

これは少し違う視点ですが、

「プロとしてどう見えるか」

も大切だと私は考えています。

お客様は作業をよく見ています。

エアコンクリーニングを仕事としている人が来たとき、機材、服装、養生、作業の進め方などから、

「この人に任せて大丈夫かな?」

と判断されます。

高価な機械を持っていればプロという意味ではありません。

しかし、生業として仕事をするのであれば、それにふさわしい機材や身なり、振る舞いを整えることも仕事の一部だと思います。


ハウスクリーニングは「掃除だけ」の仕事ではない

ハウスクリーニングは、お住まいになっている方の生活に非常に近い場所で行う仕事です。

だから、とても集中力が必要です。

そして——

お客様には、思っている以上に見られています(笑)。

掃除の技術だけではありません。

道具の置き方。

部品の扱い方。

床を汚さないための養生。

話し方。

身なり。

作業後の確認。

そういう一つ一つを含めて「ハウスクリーニング」なのだと、私は思っています。

仕事が終わったとき、お客様がきれいになったエアコンを見て笑顔になってくださる。

そんな瞬間には、

「人に喜んでもらえる仕事のお手伝いができて良かったな」

と、やっぱり思います。

この記事を読んでくださっている同業者の方にも、これからハウスクリーニングを始めたい方にも、そしてクリーニングを頼もうと思っているお客様にも、何か一つでも参考になるものがあれば嬉しいです。

これからも、現場で経験してきたことを少しずつ書いていきたいと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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